紙の種類と特徴 |
画用紙
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水彩紙 |
水彩紙は本来水彩絵具(透明、不透明)による描画用紙の総称です。一般的には
普通の画学紙も教材用として広く水彩画用に用いられていますが、この場合の水彩紙とは、厳密には水彩画家
用専用紙のことを言います。
水彩紙の特徴と専用紙としての条件
(1)絵具ののりが良く、適度に滲み止めがしてある。
・水彩絵具ののりが良いということは、紙面の状態が均一で毛羽立ちや繊維のからみ合いにむらがなく、かつ
適度な滲み止めが施されている状態を指します。また、滲み止めが強すぎると逆に絵具をはじく傾向が現れま
す。この場合、水を含ませた刷毛や太い筆などで紙の表面を何度か洗うようにしてから布で拭き取って使うと、
絵具ののりが良くなります。通常、湿った用紙は完全に乾かしてから使います。
(2)絵具の発色が良い。
・発色性は特に透明水彩の場合問題になることで、その差は組成繊維の純度と表面の凹凸、滲み止めの強さと
関係があります。
・組成繊維の純度は、無理に薬品で晒した白い繊維よりも適度に晒された綿繊維などのアルファーセルロース
の多いものが良いとされています。
・紙の表面に凹凸がある用紙ほど筆に絵具をたっぷり含ませて塗ることができますが、凹凸の少ない用紙は絵
具の落ち着きどころがないのであまり多く塗ることができません。従って[*1] 荒目の用紙ほど発色が良いとい
うことになります。
・また、表面に強く滲み止めを施した紙は多少絵具をはじきますが、発色は良くなります。
(3)紙の表面が強く、強いタッチで描いても剥けがない。
・重ね塗りをする場合や強いタッチで描く場合、紙面が弱いとボロボロと垢が出るように繊維が
剥けて絵具がむらにのることになります。これでは水彩紙として落第なので紙面強度の高い紙が
求められます。
(4)乾燥後、波を打ったようなひずみがなく水濡れ強度が高い。
・水濡れ強度の点は前項で記した剥けの問題と関連がある他、紙は水分を吸収すると伸び、かつ
弱くなり乾燥後波打ちの状態が残るという特性を持っています。一般的には波打ちの程度は厚い
紙ほど少ないので、なるべく厚い紙の使用をお勧めします。
(5)透明水彩絵具の使用を前提に抄造し、表面の表情が豊かな紙。
(6)水を使うため、防黴が施された [*2] 保存性の良い中性紙が理想的である。
[*1] 水彩紙の紙肌は一般的に細目、中目、荒目などと呼んでいますが、これはあくまでも感覚的
な分け方にすぎず、同じ表記でも製品により差があります。
[*2] 保存性の問題は前項「紙の基本知識」の項を参照。
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画学紙 |
画学紙の特徴と専用紙としての条件
(1)絵具ののりが良く、適度に滲み止めがしてある。
(2)紙の表面がある程度強く、消しゴムの削りに強い。
(3)乾燥後、波打ちが少ない。
(4)鉛筆、クレヨン、クレパス、水彩絵具、墨に適している。
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版画用紙 |
版画用紙の特徴と選び方
(1)紙そのものの質感、表現を豊かにしてくれる紙。
(2)吸水しやすく、吸湿が均一な紙。
(3)吸湿性がありながらしかも水に強い紙。
(4)吸湿による伸縮の少ない紙(特に刷り重ねていく場合、伸縮の割合が多いとアタリが狂いやすいため)
(5)エッチング用にはデリケートなイメージを伝えるため、表面が細かく、ふっくらして絹を植毛した
ような風合いの紙が良い。
(6)リトグラフ用には表面がより強く、少し荒く、木綿のような感触の紙が良い。多色リトグラフの場
合は印圧に充分耐えられる様な肉厚のある紙が良い。
(7)水を使うため、防黴が施され保存性の良い中性紙が理想的である。
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木炭紙 |
木炭紙の特徴と専用紙としての条件
(1)ざらついた紙肌で木炭や鉛筆ののりが良い。
(2)目つぶれ、毛羽立ち、裂けがない。
(3)木炭画、鉛筆デッサンに適している。
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製図用紙・版下用紙 |
製図・版下用紙の専用紙としての条件
(1)強い表面を持ち、鉛筆やインク、絵具ののりが良く滲みがない。
(2)消しゴムによる削りに強く毛羽立ちがない。
(3)製図、カンプ、版下、建築パースなどに最適である。
製図・版下用紙の特徴
- ●表面がより平滑で多少光沢がある紙の場合
- ・製図ペンや烏口などで正確で綺麗な線が描ける。
・絵具などを使った場合、多少絵具がのりにくく色むらが出やすい。
・表面強度が強く版下作成に最適である。
- ●表面が平滑な紙の場合
- ・製図ペンや烏口、つけペンなどで綺麗な線が描ける。
・絵具ものりやすく色むらも出にくい。
・製図や漫画作成に最適である。
- ●色が白い紙の場合
- ・インクや絵具の発色が良い。
・制作中目が疲れやすい(特に蛍光染料が入っている紙)
・多少紙が弱くなり紙の色が変色しやすい(特に青白い紙)
- ●色がナチュラルホワイトからクリーム色の紙の場合
- ・色が白い紙に比べ多少発色性が落ちる。
・制作中目が疲れにくい。
・紙の色が変色しにくい。
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トレーシング |
艶消しで透明度が高く、表面は堅くなめらかな紙です。
・鉛筆、インク、墨などののりが良く、消しゴムなどの削りに強く毛羽立ちがありません。
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一般紙(包装紙)
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薄葉紙 |
透明感があり、薄く軽い質感を与えるラッピング用紙です。
・紙にこしがないため形の悪い物でも容易に包め、ひねり包装もできます。
・和菓子の包装やカバー、写真の保護などに最適です。
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クラフト紙 |
色は白、クリーム、茶があり包装用の丈夫な紙です。
・包装用が主用途ですが、印刷や型紙、ペーパークラフトなどにも適します。
厚さ/寸法:
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グラシン |
パラフィン紙と称される透明度の高い紙で、絹の様な光沢とソフトな紙肌を持っています。
・引き裂き度、折れ曲げ度が優れているため、包装・装飾用に最適です。
・透明度があるので、作品の保護やブックカバーなどにも適しています。
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純白ロール |
純白色で、片面に光沢がある薄い紙です。
・ある程度の弾力と透明度があり、包装、装飾に最適です。
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綿雪 |
厚さが薄く透明感がある紙に、白い綿模様を入れたお洒落なラッピング用紙です。
・高級菓子の包装やカバー、ペーパークラフトなどに最適です。
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一般紙(保護紙) |
バリアペーパー(中性紙) |
淡クリームと濃クリームの2色がある保護用中性紙です。
・風合いが良いため、額装用マットの表面貼りに多く使われています。
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無酸ホワイト(中性紙) |
白色で中性の上質紙です。
・印刷、コピー、ワープロなどに最適です。
・中性紙で価格も安価なので、作品の保護用として下記の用途に使用できます。
◎作品と作品の間に入れて保護する。
◎額装する場合、作品と裏ベニヤの間に入れて保護する。
◎額装用マットの表面に貼る。
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模型台紙 |
ゴールデンボード |
純白色で、高級白板紙を貼り合わせた1mm厚のボードです。
・反りもなく表面も切り口も純白で、なめらかな表面はドローイングにも適します。
・主に建築模型の製作に使いますが、パッケージ・各種ダミー・ディスプレイなどにも適しています。
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黄ボール |
バフン紙ともいわれ、ぼそっとした紙肌と質感が特徴です。
・台紙はもとより、ペーパークラフトやパッケージにも最適です。
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白ボール |
片面コートしたボール紙で、こしが強く片面がなめらかな白色の紙です。
・パッケージやブックの表紙、台紙に最適です。
・裏面同士を貼り合わせた両面タイプもあります。
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プランニング紙
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レイアウト用紙
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色はナチュラルとホワイトの2色で、厚さの割にこしがあり、オーバーレイとして適度な透明性を持っています。
・主にマーカー用の紙ですが、インクや鉛筆もよくのります。
・ラフスケッチからカンプ、プレゼンテーション、漫画のネーム用として最適です。
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合成紙
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ME(ピーチコート)
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ME(ピーチコート)
純白色でポリエステルベースの合成紙です。
・裂けや折り曲げ強度が大変高く、完全ウォータープルーフなので屋外ポスターやショッピングバッグ、
地図などに最適です。
(オフセット印刷に使用する場合、合成紙用インクをお使い下さい)
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一般紙(その他)
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更紙 |
ワラバン紙やガリバン用紙とも呼ばれ、昔から学校などで印刷用紙として愛されてきました。
薄茶色でざらざらとした質感があり、消しゴムなどでの削りは弱いのですが、鉛筆などのの
りが良く安価なため、ラフやメモ用として最適です。
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上質紙(中性紙)
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ナチュラルホワイト色の上質紙です。
・印刷、コピー、ワープロなどに最適です。
・110kgと135kgは漫画原稿用紙としても最適です。
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その他 |
色紙
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色紙というと和紙を連想しますが、ちょっとした水彩画やパステル画、コミック画用に各種美術用紙を使用しました。
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